GAINAルーフは、両面に線状突起を有する軟質弾性プラスチィックルーフィング((株)チャンピオン製ウルトラチャンピオンルーフィング)にガイナを塗装した商品です。

ガイナルーフは、線状突起により、カラーベストや瓦棒屋根でもルーフィング表面と屋根材との間に隙間を確保します。隙間を確保することにより、屋根材からの熱貫流経路を、伝導、放射、対流の三つの経路に分解できます。

 

瓦棒屋根やカラーベストの時、屋根材からの伝導による熱エネルギーの移動は、屋根側の線状突起から平面部位に拡散し、野地板側の線状突起を経由して野地板に伝わります。

プラスチィックである基材の熱伝導度は低く、また伝導経路が長いため、伝導による野地板への熱エネルギーの移動は遅延し、(塗膜表面の熱エネルギーを遠赤外線として高温側へ放射して低温側への貫流を減少させる性能を持つ)ガイナ塗膜により屋根材側(高温側)に放射されることで、野地板へ伝導するエネルギー量は低減します。

 

屋根材からガイナ塗装面への放射による熱エネルギーの移動は、ガイナ塗膜により効率的に屋根材側へ再放射されます。

隙間空間の空気温度と、(比熱と熱伝導度が極めて小さい)ガイナ塗膜の表面温度は常に同じ温度になり、対流による熱エネルギーの移動を抑制します。

 

このように熱貫流を伝導、輻射、対流に分解し、その各々に対策を施すことで熱貫流量を低減することがガイナルーフの特徴になります。

 

その効果は、屋根材がセラミック瓦、ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板(自然石粒付き鋼板屋根材)のような放熱性能に優れた屋根材のとき、さらに大きくなります。ガイナ塗膜から再放射された熱は屋根材を温めます。その熱が放熱され屋根材が冷まされることでガイナ塗膜からの熱エネルギーの放射を屋根材がさらに受け取り、ガイナルーフの温度はさらに低下し、野地板への熱エネルギーの貫流量はさらに低減します。

 

屋根材が瓦やカバー工法の場合は、瓦の形状や瓦桟木により野地板と屋根材の間に隙間ができます。瓦メーカーによれば、瓦と野地板の間の空気は温度差や吹き込みにより入れ替わるとのことです。

熱伝導による熱エネルギーの移動も桟木により遅らされますし、ガイナの特性により、塗膜表面温度より低温の空気が対流すれば、塗膜温度も即座に低下しますからより効率的です。

 

野地板とガイナルーフとの隙間は、常にドライエリアとなります。そのため、野地板からの水蒸気を受け入れることができ、野地板の調湿性能を高め、野地板を健全に保全する効果も期待できます。

 

ルーフィングの線状突起により瓦桟木とルーフィングの接点では隙間が確保されているため、瓦の隙間から侵入した雨水は、桟木で滞留せず流され、桟木部分で雨水が溜まることによる釘穴から野地板への雨水の浸潤を防ぎます。また、ガイナ塗膜は親水性も高く、塗膜表面で雨水は表面張力しにくいため、その効果はさらに高くなっています。

 

ガイナはもともと外装用塗料であり、建物の外郭に塗装したとき、冬に建物を断熱する性能を有します。ガイナルーフでも同じ効果が得られます

 

ガイナルーフは、ガイナという優れた性能を有する塗料と、ウルトラチャンピオンルーフという優れたルーフィング材を組み合わせた商品ですが、お互いの性能を高めあうベストな組み合わせです。

 

コストは、1軒当たり20万円程度かかりますが、夏期に暑くて使えないロフトや二階の寝室での寝苦しさを緩和できることを考えれば必ずしも高コストではありません。また、ガイナルーフを採用することで、ロフトを生活スペースとして活用できる建築計画が可能になり、設計の自由度は広がります。